法人向けのAI研修を選ぶ基準は、2026年8月にひとつ増えました。人材開発支援助成金の改正で、プロンプト(AIへの指示文)の一般的な書き方を学ぶだけの研修は、助成金の対象外になったためです。この記事では、AI研修を「助成金が使えるか」と「現場で使われ続けるか」の2つの軸で見分ける方法を、費用・選び方・締切の順にまとめます。

先に結論

  • AI研修は「全社員の基礎」「部署ごとの業務活用」「エンジニア育成」の3種類。助成金を使うなら、2つ目の「部署ごとの業務活用」が中心になる
  • 2026年8月3日の改正で、汎用的なプロンプト研修や、AI・DXの概要を学ぶだけの研修は、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の対象外になった
  • 助成金を使えるかは「受講者の業務が題材か」「受講者がその業務の担当者か」「合計10時間以上か」で大きく決まる。現場で使われ続けるかは「事前ヒアリング」「講師」「研修後のフォロー」「定着を数える仕組み」で決まる
  • 費用は定価ではなく、助成金を引いた実質負担で比べる。研修費の助成には1人あたりの上限があり、上限を超える高額な研修ほど自己負担の割合が上がる
  • 助成金を使うなら、計画届を研修開始日の1か月前までに労働局へ出す必要がある。研修会社を決めるのは、さらにその前

→ 自社に合う研修について相談したい方はこちら(初回30分無料)

AI研修は3種類ある:自社に必要なのはどれか

法人向けのAI研修は、目的によって大きく3種類に分かれます。どれを選ぶかで、費用も、助成金の使いやすさも変わります。

種類 主な受講者 学ぶこと 人材開発支援助成金との相性
全社員の基礎(リテラシー研修) 全社員 AIで何ができるか、入力してはいけない情報、基本の使い方 内容が汎用的になりやすく、2026年8月の改正後は対象外になりやすい
部署ごとの業務活用研修 営業・経理・人事など、特定の業務の担当者 自分の業務でAIを使う手順(提案書、集計、問い合わせ対応など) 業務に直結していれば対象になりやすい
エンジニア育成研修 開発・情報システム部門 AIを使った開発、仕組みづくり 内容がITSS・DSS-Pのレベル3・4相当なら「人への投資促進コース」も選択肢になる

社内でAIを使い始めたばかりの会社でも、全社員向けの基礎研修だけで終わらせるより、使う場面がはっきりしている部署から業務活用研修を始めるほうが、成果も助成金も得やすくなります。入力してはいけない情報などの基礎は、業務活用研修の冒頭で扱えば足ります。

AI研修の費用相場:1人あたりで比べる

AI研修の費用は、形式によって大きく違います。比較記事によっては「1人あたり」と「1回あたり」の料金が混ざっている場合があるため、ここでは1人あたりにそろえた目安を示します。名古屋周辺の研修の公開料金(2026年7月時点)と、AI研修の比較記事に載っている料金(2026年10月時点)をもとに、Central AXが整理したものです。

形式 1人あたりの目安 向いている会社
公的機関・自治体の講座 無料〜4万円台 まず全体像を知りたい
セミナー型(既製の講座に参加) 3万〜5万円程度 少人数で基礎を学びたい
eラーニング 数千円〜3万円程度 時間を合わせにくい・人数が多い
カスタマイズ型(自社の業務に合わせて作る) 20万〜40万円程度 業務で使える状態まで持っていきたい

カスタマイズ型は定価が高く見えますが、人材開発支援助成金の対象になりやすいのはこの形式です。中小企業なら、受講料の75%と、受講中の給料の一部が戻ります(計算のしかたは下の「費用は助成金を引いた実質負担で比べる」で説明します)。名古屋周辺で実際に受けられる研修の料金は、名古屋の生成AI研修を費用で比較で具体的に比べています。

2026年8月の改正で、助成金を使えるAI研修の条件が変わった

2026年8月3日、AI研修で使われることの多い人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の要件が改正されました。厚生労働省の改正リーフレットでは、DX化に関する訓練のうち、職業や職務に「間接的に」必要な内容や、職種を問わず共通して必要な内容は、助成の対象外とされています。

2026年8月の改正後に人材開発支援助成金の対象になるAI研修と、対象外になるAI研修の比較図。対象外は汎用的なプロンプトの書き方、AI・DXの概要、その業務に就いていない人の受講。対象になり得るのは特定の業務でのAIの使い方、その業務の担当者の受講、自社の資料やデータを題材にした研修

改正リーフレットの内容をもとにすると、AI研修では次のように分かれます。

対象外になる研修

  • 生成AIを使うための、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ研修(特定の業務に当てはめないもの)
  • DXの考え方、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ研修
  • 内容は業務に合っていても、その業務に就いていない人に受けさせる場合

対象になり得る研修

  • 「営業部門が、提案書の作成にAIを使う」のように、特定の業務への使い方を学ぶ研修
  • その業務を実際に担当している人が受ける研修

つまり、研修の名前に「AI」や「DX」と入っていても、それだけでは助成されません。研修会社に見積もりを頼む前に、カリキュラムが自社のどの業務を題材にしているかを確認することが欠かせません。自社が検討している研修が対象になりそうかは、助成金の対象チェック(8問・約1分)で確かめられます。

この改正には経過措置があります。改正前から準備していた研修の扱いは、支給要領と管轄の労働局で確認してください。

失敗しないAI研修の選び方:7つのチェックポイント

AI研修を選ぶときは、「助成金が使えるか」と「現場で使われ続けるか」の2つを確認します。助成金を使わない場合でも、1〜3は研修の効果を左右するので確認する価値があります。

助成金が使えるかを左右する3つ

  1. 題材は自社の業務か:一般的な例題ではなく、受講者が普段やっている業務(自社の資料・データ)を題材にするか
  2. 受講者をその業務の担当者に絞れるか:全社員を一度に受けさせるより、業務ごとにグループを分けられるか
  3. 研修時間は合計10時間以上か:人材開発支援助成金は、実際の訓練時間が10時間以上の研修が対象です。昼休みなど食事を伴う休憩は時間に含めないため、時間割まで確認します

現場で使われ続けるかを左右する4つ

  1. 事前のヒアリングがあるか:受講者のレベルと対象業務を研修前に聞き取り、内容を調整してくれるか
  2. 講師が現場の実務を知っているか:AIの知識だけでなく、業務への当てはめ方を具体的に示せるか
  3. 研修後のフォローがあるか:質問対応、資料の提供、使い方の見直しの機会があるか
  4. 定着を数える方法を一緒に決められるか:研修の1か月後・3か月後・6か月後に、「週1回以上AIを使っている人の割合」「対象業務の作業時間」「作ったひな形や仕組みの数」を数えられるか

7つ目は見落とされがちですが、研修が「意味なかった」で終わるかどうかを分ける点です。数え方の詳しい手順は生成AI研修の効果測定で解説しています。

費用は「助成金を引いた実質負担」で比べる

AI研修の費用を比べるときは、定価ではなく、人材開発支援助成金を引いたあとの実質負担で比べます。事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業の場合、次の2つが戻ります(大企業は60%・1時間500円、上限は1人20万円)。

  • 研修費の助成(経費助成):税込の受講料の75%。ただし1人あたりの上限があり、研修時間が10時間以上100時間未満なら30万円
  • 給料分の助成(賃金助成):勤務時間内の受講1時間あたり、1人1,000円。受講者は雇用保険に入っている従業員に限られます

研修費の助成に上限があるため、受講料が高い研修ほど自己負担の割合が上がります。仮の研修A(1人20万円)と研修B(1人50万円)を、中小企業が10時間・5名・勤務時間内に受ける場合で比べると、次のようになります。

仮の研修Aと研修Bを中小企業が10時間・5名・勤務時間内に受けた場合の比較図。研修A(1人20万円・税込)は研修費用100万円に対して実質負担20万円で負担割合20%。研修B(1人50万円・税込)は研修費用250万円に対して実質負担95万円で負担割合38%

研修(受講料は税込) 研修費用(5名) 戻る金額 実質負担 負担の割合
研修A:1人20万円 100万円 80万円 20万円(1人4万円) 20%
研修B:1人50万円 250万円 155万円 95万円(1人19万円) 38%

研修Bでは、受講料の75%にあたる37万5,000円が、1人あたりの上限30万円を超えます。超えた分にあたる受講料(1人10万円)は全額が自己負担になるため、定価に対する負担の割合が20%から38%に上がります。この数字は「中小企業・10時間・5名・勤務時間内に受講・全員が雇用保険の加入者」という条件での試算です。候補の研修ごとに数字を入れて比べたいときは、助成金計算機を使うと、受講料・時間・人数からその場で実質負担がわかります。

eラーニングで行う研修は、給料分の助成がなく、研修費の助成の上限も1人15万円(中小企業)に下がります。また、eラーニングで助成を受けられるのは、同じ従業員につき1年度に1回までです(令和8年8月3日以降に出した計画届の分から数えます)。

発注までの段取り:人材開発支援助成金の計画届は研修開始の1か月前まで

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)を使う場合、研修会社を決めてすぐに研修を始めることはできません。研修開始日の6か月前から1か月前までに、管轄の労働局へ計画届(職業訓練実施計画届)を出す必要があるためです。1か月を切ると、その日程の研修では助成金を使えません。

逆算すると、段取りは次のようになります。

  1. 研修会社を比べ、カリキュラムと見積もりを固める(2〜4週間が目安)
  2. 社内の準備をする:事業内職業能力開発計画を作って従業員に知らせ、職業能力開発推進者を決める。このコースでは事業展開等実施計画(様式第1-3号)も作ります。そのほかの必要書類は支給要領で確認します
  3. 研修開始日の1か月前までに、計画届を労働局へ出す
  4. 研修を行い、受講者の出席を記録する(受講者ごとに研修時間の8割以上の出席が必要で、届かなかった人の分は助成されません)
  5. 研修が終わった翌日から2か月以内に、支給を申請する(助成金は後払いです)

研修の日程から各締切を逆算したいときは、申請スケジュール逆算ツールに日付を入れると、計画届と支給申請の締切がわかります。なお、事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度(2027年3月31日)までの時限措置と公表されています。申請の細かい手順は人材開発支援助成金で生成AI研修を受ける手順にまとめています。

資料ダウンロード

Central AXのAI研修

Central AX(株式会社Central AX、名古屋市)は、生成AI研修とClaude Code研修を、受講者の実際の業務を題材にしたカスタマイズ型で行っています。

  • 生成AI研修:1人25万円(税別)。対象の部署と業務を事前のヒアリングで決め、その業務でAIを使う手順を中心に組み立てます
  • Claude Code研修:1人30万円(税別)。エンジニアでない人でも、集計・転記などの手作業の自動化を目指す研修です
  • 進め方:事前ヒアリング → 基礎の理解 → 実業務を題材にしたハンズオン → 自社への展開を考える → 研修後のフォロー
  • 対応地域:名古屋を拠点に全国対応。対面・オンラインのどちらも可能です

人材開発支援助成金を使う場合は、上で説明した改正後の条件に合うように、対象の業務と受講者を決めてからカリキュラムを作ります。料金と、助成金を使った場合の実質負担は料金プラン、研修の実例は導入事例で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q. AI研修はどこがおすすめですか?

A. どの会社にも当てはまる「おすすめの1社」はありません。人材開発支援助成金を使うなら「自社の業務が題材か」「受講者がその業務の担当者か」「合計10時間以上か」を、研修の効果を重視するなら「事前ヒアリング」「講師の実務経験」「研修後のフォロー」「定着を数える仕組み」を確認して選ぶのがおすすめです。

Q. プロンプトの書き方を学ぶ研修は助成金の対象になりますか?

A. 2026年8月3日の改正で、特定の業務に当てはめない汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ研修は、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の対象外になりました。営業の提案書づくりなど、受講者の業務でAIを使う内容に組み立てれば対象になり得ます。

Q. AI研修の費用相場はどのくらいですか?

A. 1人あたりの目安は、公的機関・自治体の講座が無料〜4万円台、セミナー型が3万〜5万円程度、eラーニングが数千円〜3万円程度、自社の業務に合わせるカスタマイズ型が20万〜40万円程度です(Central AXが2026年7〜10月に確認した公開料金と比較記事をもとにした目安)。カスタマイズ型は人材開発支援助成金の対象になりやすい形式です。

Q. 助成金を使うと、AI研修は実質いくらになりますか?

A. 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の場合、中小企業が受講料1人20万円(税込)・10時間の研修を5名で勤務時間内に受けると、研修費用100万円に対して80万円が戻り、実質負担は20万円です。研修費の助成には1人あたり30万円(10時間以上100時間未満の場合)の上限があるため、受講料が高い研修ほど負担の割合は上がります。

Q. 研修会社はいつまでに決めればよいですか?

A. 人材開発支援助成金を使う場合、研修開始日の1か月前までに計画届を労働局へ出す必要があります。カリキュラムと見積もりを固める期間を含めると、研修開始の2か月前までには研修会社を決めておくのが安全です。

まとめ

  • AI研修は「全社員の基礎」「部署ごとの業務活用」「エンジニア育成」の3種類。人材開発支援助成金を使うなら、部署ごとの業務活用研修が中心になる
  • 2026年8月3日の改正で、汎用的なプロンプト研修やAI・DXの概要研修は、事業展開等リスキリング支援コースの対象外になった
  • 研修は「助成金が使えるか(業務が題材・担当者に絞る・10時間以上)」と「現場で使われ続けるか(ヒアリング・講師・フォロー・定着の計測)」の2つの軸で選ぶ
  • 費用は助成金を引いた実質負担で比べる。1人あたりの上限を超える高額な研修ほど、自己負担の割合が上がる
  • 計画届は研修開始の1か月前まで。研修会社は開始の2か月前までに決めておく

→ 自社に合う研修について相談したい方はこちら(初回30分無料)

  • AI研修・人材育成:生成AI研修・Claude Code研修。自社の業務を題材に、社内でAIを使える人を育てます。