SNS運用の企画・台本・投稿文・分析・資料作成——扱うものの大半が言語と画像であるSNSマーケティングは、AIと最も相性がいい業務のひとつです。SNS運用代行のライブエージェント様に、制作から分析、営業までを対象に10のAIの仕組みを実装し、現場で稼働させています。毎週発生していた各媒体の数字をシートへ手で打ち込む作業がなくなり、動画200本規模でも構成の品質が均一に保てるようになりました。

目次(10項目)

この記事の要点

課題
台本・絵コンテなどの制作に加えて、毎週の数字転記・レポート作成・提案資料づくりが人手に依存し、案件が増えるほど作業が比例して増えていた
やったこと
制作/分析・レポート/営業・オペレーションの3層に分けて、10のAIの仕組みを実装。呼び出して使う道具ではなく、定期実行で勝手に回る形にした
成果
1人あたりが持てる案件数と成果が大きく伸びた。毎週の数字転記がゼロに。動画200本規模でも構成品質が均一に。差し戻しと追客漏れが減った

業種SNSマーケティング・ライブコマース支援

ライブエージェント様(株式会社LiveAgent)は、TikTokを中心に、ライブコマース支援や企業のSNSマーケティング支援、動画制作を手がける会社です。提案資料の作成、競合調査、コンテンツ企画といった業務が日常的に発生し、若手が多く新しいツールへの抵抗も少ない——条件としてはAI導入がうまくいきやすい組織です。

それでも、最初の進め方では定着しませんでした。その失敗も含めて書きます。

課題制作よりも、数字転記と差し戻しが時間を食っていた

SNS運用代行の業務フローは「戦略立案 → 企画 → 制作 → 投稿 → 分析」と、その周辺のオペレーションで構成されます。AI化というと制作(台本が書ける・画像が作れる)に目が行きがちですが、実際に時間を食っていたのは別の場所でした。

  • 毎週の数字転記。各プラットフォームの管理画面を開いて、再生数やインサイトを見て、シートへ手で打ち込む。これが案件数×媒体数だけ発生する
  • 差し戻し。クライアントワークで最も時間を溶かすのは制作そのものではなく、提出後の修正の往復
  • 提案資料と追客。商談のたびに資料をつくり、追客はメンバーの記憶に依存していた

進め方全社展開で一度失敗し、「不便が出たものから1つずつ」に切り替えた

最初に取ったのは「業務に使えそうなAIの仕組みを一通り用意して、社内に案内する」という進め方でした。結果は、ほとんど使われませんでした。数が多すぎて現場がどれから触ればいいか迷う、現場が困っていない業務のものが混ざっている、「使ってください」では締切のある仕事に勝てない——原因ははっきりしていました。

そこで方針を変えました。現場から「ここが不便」という声が出た業務だけを、1件ずつAI化する。こちらから配らない。 自分が面倒だと言った作業が楽になるので使う動機が最初からあり、「あの資料づくりが30分から5分になった」という具体的な成功が次の依頼を呼びます。最初の1件が動いたあと、別のメンバーから「うちのこの作業もできないか」という相談が出てくるようになりました。

2026年5月の支援開始当初は、使えそうなAIの仕組みを一通り用意して全社に案内したが、数が多くて迷う・困っていない業務が混ざる・締切のある仕事に勝てないという理由でほとんど使われなかった。そこで方針を変え、現場から不便の声が出た業務だけを1件ずつ仕組みにし、こちらからは配らないことにした。「30分が5分に」という成功が次の相談を呼び、数か月で10の仕組みが稼働、支援は継続中という流れを示した図。
現場で稼働している10のAIの仕組みの一覧。制作は4個(参考動画から同じ構成の台本をつくる、台本から全カットの絵コンテをつくる、ショート動画の編集を自動化、投稿文を媒体ごとに最適化)、分析は2個(再生数・インサイトを自動で集める、提出用レポートを自動でつくる)、営業・オペレーションは4個(提案資料を半自動でつくる、商談の準備・お礼メール・追客を半自動化、提出前のセルフチェック、納品作業の自動化)。

やったこと1制作——良い型を渡してから、AIに任せる

  • 参考動画のURLを渡すと、同じ構成の型で台本になる仕組み。1カット=1行で映像・音声・テロップ・尺を持たせ、そのまま編集者への指示書として使える形で出力します。動画200本規模でも構成の質が均一になりました
  • 台本を渡すと全カットの絵コンテが上がる仕組み。撮影場所・キャスト・商材の実物写真を参照として添えて生成するのが肝で、絵コンテと撮影当日の画が一致し、撮り直しが減ります
  • ショート動画の編集の自動化。TikTok Shopのアドアフィ(Ad Affiliate)向けにショート動画を大量に作る場面で、編集作業を自動化しました
  • 投稿文の媒体別最適化。X・Instagram・TikTokごとの伸ばし方やハッシュタグ戦略、業界コンプライアンスを知識ベース側に持たせ、担当者の勘に依存しない形にしました

共通する原則は、全部をAIに書かせないことです。これまでに成果が出た「良い型」を先に落とし込み、台本・管理シート・分析レポート・編集の型を渡せばAIが仕上げる状態にして、初めて実用水準になりました。

やったこと2分析——数字の収集を自動化してから、レポートを自動化する

投稿管理シートのURLを渡すと、TikTok・YouTube・Instagramの再生数を取得してシートに書き込む仕組みを作りました。管理画面側にしかないリーチや視聴維持率も回収し、定期実行に載せることで、人が触らなくても数字が貯まる状態にしています。毎週の数字転記はゼロになりました。

数字が自動で貯まったうえで、クライアント提出用レポートの自動作成を載せています。伸びた動画と伸びなかった動画の共通項をフック秒数・尺・テロップ量・訴求軸で横断分析し、最後は必ず「次月やること」の一文で締める型に固定しました。順番が重要で、収集が手作業のままレポートだけ自動化しても、全体の時間は変わりません。

やったこと3営業・オペレーション——差し戻しと追客漏れを型で潰す

  • 提案資料の半自動化。実績のあるデッキの構成を踏襲し、商談の議事録から与件を反映して生成。人が承認するのは金額と構成案の2つだけです
  • 商談フローの半自動化。カレンダーから次の商談を取得してアジェンダ化し、商談後は議事録から本人の文体でお礼メールを下書き。追客タスクとパイプラインが自動更新され、追客漏れがなくなります
  • 提出前のセルフチェックと納品の自動化。過去に受けた指摘を型として蓄積し、提出前に機械的に照合して「同じ指摘を二度出させない」形に。レビュー動画のアップロードからリンク発行・管理シート記入までを自動化し、人がやるのはファイルの投入だけです

成果転記がゼロになり、品質が人に依存しなくなった

導入前と導入後の比較。資料づくりは30分から5分に。再生数などの数字の転記は、案件数×媒体数だけ毎週手で入力していたものがゼロになり、自動で集まるようになった。動画の構成の品質は担当者しだいだったものが、良い型をAIに渡すことで200本規模でも均一になった。あわせて1人あたりが持てる案件の数も大幅に増えた。
  • 編集・台本・レポート・提案書づくりの作業が大きく減り、1人あたりが持てる案件の数が大幅に増え、1人あたりの成果も格段に上がりました
  • 毎週の数字転記が不要になりました。削減時間では10の仕組みの中で最大級です
  • 動画200本規模でも、構成の品質基準が均一に保てるようになりました
  • 差し戻しの回数が減りました。制作を10%速くするより、差し戻しを1回減らすほうが効きます
  • 外注していた絵コンテ作画のコストと往復、撮影当日の撮り直しが減りました
  • 追客が仕組みで回るようになり、「そのまま忘れた」による機会損失がなくなりました

AIに任せるのは材料づくりまでで、金額と契約の意思決定、最終的なクリエイティブジャッジ、クライアントとの合意形成は人が持つ——という線引きを守っています。

よくあるご質問

Q. どのくらいの期間がかかりますか。 仕組み1つあたりなら数日から2週間程度です。ただし10すべては一度に入れず、実務を回しながら数か月かけて1つずつ増やしてきました。

Q. SNSマーケティング以外の業種でも応用できますか。 できます。「良い型を渡してから生成させる」「収集を自動化してから分析を自動化する」「差し戻しを型で潰す」という構造は業種を問いません。

Q. 自社でも作れますか。 作れます。ただし業務の型が固まっていることが前提です。型がないままAI化すると、曖昧な運用がそのまま自動化されます。

こんな課題をお持ちの方へ

  • 各媒体の数字を、毎週人がシートに打ち込んでいる
  • 制作物の品質が、担当者の経験に依存している
  • 提出後の差し戻しの往復に時間を取られている
  • 追客や進行管理が、メンバーの記憶頼みになっている

Central AXは、現場に入って効きどころを洗い出し、1つ選んで実際に動く形まで作り、最後は型を渡して自社のメンバーが増やせる状態にする——という進め方で支援しています。

Central AX にご相談ください

どの工程から自動化すべきかは、業務の流れを見ないと判断できません。まずは30分、状況をお聞かせください。