「AIを導入したいが、費用がネックで踏み出せない」——その悩み、補助金・助成金で大きく軽くできる可能性があります。ただし制度は複数あり、「ツール導入に使えるもの」と「研修に使えるもの」が別物で、締切や要件もバラバラ。調べているうちに嫌になる、というのが実情ではないでしょうか。

この記事では、愛知県の中小企業がAI導入・AI研修に使える制度を、国・県・名古屋市の3レベルで整理しました。名古屋でAI実装支援を行う当社が、2026年8月時点の公開情報でまとめています。

※補助金・助成金は年度・公募回ごとに要件が変わります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

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デスクに積まれた補助金の申請書類と電卓、ノートPC。書類を確認する担当者の手元

まず全体マップ:何に使うかで制度が決まる

制度 実施 使い道 補助率・上限の目安 状況(2026年7月時点)
デジタル化・AI導入補助金 AIツール・ソフト導入 1/2〜、最大450万円 公募中(第1次締切8/25、以降は未公表)
中小企業省力化投資補助金 省力化設備・システム カタログ型1/2、一般型1/2(小規模2/3) カタログ型は随時、一般型は第8回公募
人材開発支援助成金(リスキリング支援コース) AI研修の受講費 経費の75%+賃金助成 受付中(2027年3月末で終了予定)
中小企業デジタル化・DX促進補助金 愛知県 DXコンサル・ツール・システム 1/2(小規模2/3)、上限200万円 今年度公募は終了(例年3月頃開始)
中小企業デジタル活用支援補助金 名古屋市 ソフト・設備・ロボット導入 1/2、上限100〜500万円 今年度の受付は終了(2026年6月1日締切・事前相談必須)

ポイントを先に言うと、AI研修に使えるのは実質、国の人材開発支援助成金だけです。県・市の補助金は公募要領で研修費が対象外とされています。逆にツール・システム導入は選択肢が複数あります。

国の制度①:デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

長年「IT導入補助金」の名前で親しまれた制度が、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に変わりました。名前の通り、生成AIを含むAI機能付きツールが補助対象として明確化されたのが大きな変化です。

  • 補助額: 通常枠で5万円〜最大450万円(業務プロセス1〜3つで5万円〜150万円、4つ以上で150万円〜450万円)
  • 補助率: 1/2以内(条件により2/3以内、小規模事業者の一部は最大4/5)
  • 対象: 事務局に登録されたITツール・AIツールの導入費
  • 今後の締切: 事務局が公表している事業スケジュールでは、第1次締切が2026年8月25日(火)17時、交付決定は10月7日(水)予定です。第2次以降の締切日は現時点で未公表のため、事務局サイトで随時確認してください

注意点は、登録済みツールから選ぶ方式であること。「何でも好きなツールに使える」わけではないので、導入したいツールが対象登録されているかの確認が最初の一歩です。

国の制度②:中小企業省力化投資補助金

人手不足対応の設備・システム投資を支援する制度です。カタログに掲載された製品を選ぶ「カタログ注文型」は補助率1/2以下で、上限額は従業員5名以下200万円・6〜20名500万円・21名以上1,000万円(賃上げ達成でそれぞれ300万円・750万円・1,500万円)。オーダーメイドの「一般型」は補助率1/2(小規模企業者・小規模事業者は2/3)で、上限は従業員5人以下750万円から101人以上8,000万円(大幅賃上げ特例で最大1億円)です。

製造・物流など現場の省力化と絡めてAI・自動化を入れる場合は、こちらが候補になります。

国の制度③:人材開発支援助成金——AI研修の本命

社員にAI研修を受けさせる場合の本命がこれです。厚生労働省の「事業展開等リスキリング支援コース」のご案内(PDF)によると:

  • 経費助成: 研修費用の75%(中小企業。大企業は60%)
  • 賃金助成: 研修中の賃金として1人1時間あたり1,000円(中小企業)
  • 上限: 1人あたり訓練時間に応じて30〜50万円

たとえば研修費用100万円なら、実質負担は25万円まで下がる計算です(上限・要件あり)。当社のAI研修で使った場合の具体的な金額は、助成金シミュレーターに業種・資本金・従業員数・受講人数を入れるとその場で試算できます。計算方法そのものは人材開発支援助成金はいくらもらえる?計算方法と早見表で詳しく解説しています。

ただし2つ、重要な注意があります。

  1. 計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出が必要。 厚生労働省の案内では、必要書類をこの期間内に管轄労働局へ提出することとされています。研修を申し込んでから慌てても間に合いません
  2. このコースは2027年3月末で終了予定。 使うなら今年度が実質最後のチャンスと考えて動くのが安全です
  3. 令和8年度から制度が一部変わりました。 事業展開等リスキリング支援コースに設備投資加算(中小企業は導入費用の50%)が新設され、令和8年5月14日以降は受講料等の価格設定に関する疎明書の提出が必要になっています

申請の流れ、愛知労働局の窓口、そして対象外になりやすい研修の条件は人材開発支援助成金で生成AI研修を受ける手順に詳しくまとめました。

愛知県の制度:中小企業デジタル化・DX促進補助金

あいち産業振興機構が実施する県の補助金です。愛知県の発表によると、DXコンサルティング・デジタルツール導入・システム構築が対象で、補助率は中小企業1/2以内(小規模企業者2/3以内)・上限200万円。「あいち産業DX推進コンソーシアム」への加入が申請要件です。

ただし、2026年度の公募はすでに終了しています(3月6日〜5月12日でした)。例年3月頃に公募が始まるサイクルなので、来年度の利用を狙うなら年明けから準備して3月に即応募が正解です。研修費は対象外である点にも注意してください。

名古屋市の制度:中小企業デジタル活用支援補助金

名古屋市内の中小企業向けに、名古屋産業振興公社が実施しています。

  • 通常枠: 上限100万円・補助率1/2
  • 賃上げ枠: 上限150万円・補助率1/2
  • ロボット枠: 上限500万円・補助率1/2
  • 対象はソフトウェア導入費・設備費など(研修費は対象外)

ただし2026年度の受付は6月1日16時で終了しています。特徴は申請前の事前相談が必須なことで、相談開始は名古屋市新事業支援センターが4月15日、名古屋商工会議所が5月1日でした。思い立ってすぐ申請、ができない仕組みなので、来年度を狙うなら年度初めの相談予約から逆算して動いてください。

使い分けと組み合わせの考え方

  • 社員をAI人材に育てたい → 人材開発支援助成金(研修費の最大75%)
  • AIツールを導入したい → 国のデジタル化・AI導入補助金(登録ツールから選ぶ)
  • システムを作りたい・設備と絡めたい → 省力化投資補助金、名古屋市の補助金
  • 同じ経費に複数の補助金を重ねることはできませんが、経費を切り分ければ組み合わせは可能です(例:研修は助成金、ツールは補助金)。可否は各公募要領で必ず確認を

そして共通の注意として、補助金は原則後払いです。一度は自社で支払う資金繰りが必要なこと、採択には審査があり必ず通るわけではないことは、計画に織り込んでおいてください。

当社のサポートについて

株式会社Central AXは、名古屋を拠点に東海エリアの企業へAI研修・AI受託開発・LLMO対策を提供しています。研修(生成AI研修・Claude Code研修)は人材開発支援助成金の活用を前提としたご相談が可能で、開発についても補助金の対象になりうる進め方を初回相談時に一緒に整理しています。

相談テーブルで専門家が経営者に補助金の資料を指し示しながら丁寧に説明している様子

「うちの場合、どの制度が使えるのか」を30分で整理するだけでも、その後の動きがかなり速くなります。お気軽にご相談ください。

Central AX サービス紹介資料(無料)。AI研修・AI受託開発・LLMO対策の内容と料金、支援の進め方がわかります

よくある質問(FAQ)

Q. 申請は自社でできますか?

A. できますが、計画書類・実績報告など事務負担は小さくありません。助成金(雇用関係)は社労士、補助金は商工会議所や認定支援機関に相談すると安全です。要件の読み違いによる不支給が一番もったいないパターンです。

Q. 個人事業主でも使えますか?

A. 制度によります。デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も対象です。人材開発支援助成金は雇用保険適用事業所であることが前提なので、従業員を雇用していることが必要です。

Q. 採択されやすくするコツはありますか?

A. 「AIを入れたい」ではなく「この業務のこの課題を、この道具で、これだけ改善する」と具体的に書けるかどうかです。業務の棚卸しができていれば申請書の説得力は自然に上がります(この整理は中小企業のAI導入が失敗する典型パターンでも書いた、導入成功の第一歩と同じものです)。

Q. 今から最短で使えるのはどれですか?

A. 研修なら人材開発支援助成金(計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前まで)、ツール導入なら国のデジタル化・AI導入補助金の第1次締切(2026年8月25日17時)への申請です。県の補助金は今年度の公募が終わっているため、来年度枠の準備を今から始めるのが現実的です。

まとめ

愛知県の中小企業がAI導入に使える制度は、①研修なら人材開発支援助成金(経費の最大75%・2027年3月終了予定) ②ツール導入なら国のデジタル化・AI導入補助金(最大450万円) ③システム・設備なら省力化投資補助金や名古屋市の補助金、という整理になります。県のDX促進補助金は例年3月公募開始なので、来年度に向けた準備を。

制度は毎年変わります。この記事は2026年8月時点の情報なので、動くときは最新の公募要領の確認と、早めの事前準備(計画届・事前相談)を忘れずに。

Central AXは名古屋を拠点に、補助金・助成金の活用を前提にしたAI導入のご相談を受け付けています。初回30分は無料です。