【公認会計士向け】AIで変わる会計士実務 — Claude Code 実演デモ 2026年8月10日開催

2026年8月10日の夜、公認会計士の方を中心に120名の申込をいただいたオンラインイベントで、AIに監査調書や財務DDのレポートを作らせる様子を1時間ぶっ通しで実演しました。共催は公認会計士・税理士の畠山謙人さん、当社からは代表の松浦が登壇しています。

準備の段階では、いちばん食いつきがあるのは調書作成のデモだろうと踏んでいました。手数がかかって、しかも形が決まっている工程です。効率化の話として、これほど分かりやすい題材もないはずでした。

終わってアンケートを開いたら、そこではありませんでした。

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実演した5本

デモはすべてClaude Codeで、その場で生成する形式で行いました。あらかじめ作った完成品を見せるのではなく、指示を出してから出力が立ち上がるまでを画面共有しています。

デモ 内容
増減分析調書 試算表の前期比較から、変動の大きい勘定を拾って調書の形にまとめる
有価証券報告書の分析 開示資料を読み込ませ、着目点を論点ごとに整理する
PBC進捗管理 依頼資料リストの回収状況を管理表として起こし、督促対象を洗い出す
財務デューデリジェンス 対象会社データから正常収益力・運転資本の分析メモを組み立てる
株価算定 前提条件を与えて算定ロジックを走らせ、レンジと感応度を出す

関心は「手を動かす工程」ではなく「判断材料をそろえる工程」に寄った

アンケート28件で興味を持った内容を聞いたところ、株価算定と財務DDが2強でした。次いで増減分析。

事前の想定とは逆の結果です。作業量が多い工程ほど刺さるだろうと考えていたのですが、票が集まったのは、むしろ会計士の判断そのものに近い領域でした。

数字の入力や転記を減らす話は、すでに聞き飽きているのだと思います。関心があるのは、限られた時間の中で判断の材料をどこまで積めるかのほう。DDも株価算定も、精度を左右するのは分析の深さではなく、期限までに何本の切り口を検討できたかで決まる場面が多い。そこに手数を足せるなら意味がある、という読み方です。

同じ理屈は監査以外の職種にも当てはまります。士業全般の線引きについては士業事務所の生成AI活用で別途整理しています。

デモ用のデータ自体もAIで作った

試算表、仕訳帳、月次推移表——実演に使った資料は、実在する会社のものではありません。すべてAIに生成させたダミーデータです。

畠山さんも当日その精度に驚いていました。勘定科目の構成にも月次の増減にも、不自然なところがない。

小ネタに見えて、実務上の意味は小さくありません。社内研修でも、ツールの検証でも、いちばん面倒なのは「試すための本物のデータをどう用意するか」です。守秘義務のある資料は持ち出せず、マスキングには手間がかかる。その前提を、生成側で外せることになります。

積み残した質問のほうが重かった

セキュリティの解説は時間切れで飛ばしました。ところが、自由記述でもっとも具体的だったのがその領域です。

大手監査法人のセキュリティ制約の中で、AIは入り口の補助にとどまるのか、それとも深度のある監査手続まで踏み込めるのか。——実演を見た上での、当然の反問だと思います。

これに一般論で答えても役に立ちません。法人ごとに承認されているツールも、データの持ち出し可否も違います。クラウドの利用そのものが難しいなら、ローカルで動かすモデルや、社内文書だけを参照させるRAGの構成を検討することになる。当日のQAでもこの話題には反応がありました。

線を引くべき場所は、業種ではなく、扱うデータと契約条件で決まります。

参加者の内訳と満足度

以下はアンケート回答28件を集計したもので、参加者全体の構成ではありません。

  • 監査法人 9名/独立開業 10名/コンサル・FAS 4名/事業会社 4名/その他 1名
  • 満足度 平均4.3(5段階)
  • 当日の最大同時接続 約93名

独立開業の方が監査法人と同数だったのは想定外でした。組織の承認を待たずに自分の判断で導入できる立場ほど、動きが早いということだと思います。

記録と、次の一歩

当日のアーカイブ動画は、アンケートにご回答いただいた方へ個別に送付しています。今後のイベント情報はお問い合わせいただければご案内します。

自社の業務でどこまで踏み込めるかは、扱うデータと社内ルールを見ないと判断できません。30分の無料相談では、その線引きから一緒に整理しています。監査法人・会計事務所からのご相談も承っています。