2026年10月5日(月)、四日市商工会議所1階ホールで、株式会社ATISとの共催による経営者向けAI活用セミナー「HUMANITY, POWERED BY AI ─ AI共存 〜企業向け 実践的AI導入のロードマップ〜」を開催しました。ご参加いただいた皆さま、会場の準備から当日の運営まで支えてくださったATISの皆さま、本当にありがとうございました。
募集の段階で定員の30社に達し、当日は50名を超える方にお越しいただきました。三重県内のさまざまな業種の経営者・幹部の方が、3時間にわたって熱心に耳を傾けてくださいました。
このセミナーで一貫してお伝えしたのは、**「AIは道具を入れて終わりではなく、社内に定着させるまでが導入」**ということです。この記事では、当日お話しした内容と実演の様子をまとめます。参加できなかった方にも、自社のAI導入を考えるヒントにしていただければ幸いです。
→ 自社の場合はどうなるか相談したい方はこちら(初回30分無料)

開催の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セミナー名 | HUMANITY, POWERED BY AI ─ AI共存 〜企業向け 実践的AI導入のロードマップ〜 |
| 日時 | 2026年10月5日(月)13:30〜16:30 ※終了後に個別相談会 |
| 会場 | 四日市商工会議所 1階ホール(三重県四日市市) |
| 主催・共催 | 主催:株式会社ATIS/共催:株式会社Central AX |
| 登壇 | 岩瀧太郎(ATIS 代表取締役)、近藤活(Central AX 代表取締役COO) |
| 参加者 | 50名超 |
| 定員 | 30社(募集時点で満席) |
| 参加費 | 無料 |
主催のATISは、四日市で20年以上デザインの仕事を続けてきた会社です。Central AXは、ATIS社内のAI導入(AX)を伴走支援しており、その経験をもとに今回のセミナーを一緒につくりました。
なぜ今、三重の企業にAIが必要なのか
最初にお伝えしたのは、三重県の企業が置かれている状況です。
帝国データバンクの調査によると、2026年7月時点で三重県内の企業の**51.8%が「正社員が不足している」**と答えています。7月としては2年連続で半数を超えており、運輸・倉庫、小売、建設では6割を超えました(出典:帝国データバンク「三重県・人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」)。東海4県の人手不足による倒産も、2026年上半期だけで22件にのぼります(出典:帝国データバンク「東海4県・人手不足倒産の動向調査(2026年上半期)」)。
「人を増やす」という打ち手そのものが効きにくくなっている中で、AIで「時間を増やす」という選択肢をお話ししました。
一方で、AIの活用には地域による差があります。複数の部署でAIを積極的に使っている人の割合は、東京・大阪・名古屋では24.1%なのに対し、それ以外の地方では6.0%にとどまります。「導入の予定はない・必要性を感じない」と答えた人も、地方では62.0%にのぼりました(出典:ラグザス株式会社「企業のAI活用格差調査」)。
三重は、まだこの「6%側」にいます。裏を返せば、今から始めれば地域の中で先に動けるということでもあります。

会場では、国の人工知能基本計画(2025年12月23日閣議決定)での「AX(AIトランスフォーメーション)」の考え方も紹介しました。AIを単なる効率化の道具として使うのではなく、業務や組織のあり方そのものを見直していく取り組みのことです。国も「中堅・中小企業や地域を含めた、より裾野の広いAI実装」を掲げており、地方の中小企業こそ取り組む意味があるとお伝えしました。
AI導入は「研修から」始めて「定着」まで伴走する
セミナーの中心は、AIを社内に根づかせるための進め方です。
基幹システムとAIは、お金の払い方が違う
これまでの業務システムは「完成した道具にお金を払う」ものでした。AIは「自分たちで作れるようになることにお金を払う」ものです。数日〜数週間で形になり、使いながら自分たちで直せて、特定の人しか分からない状態(属人化)にもなりにくい。この違いを最初に押さえていただきました。
道具だけ置くと、道具ごと使われなくなる
よくある失敗が、土台をつくらないまま便利なAIツールだけを社内に置くことです。使い方が分からないまま、いつの間にか誰も使わなくなってしまいます。
当社がおすすめしているのは次の順番です。
- 社内研修で、全員がAIをさわれる状態をつくる
- 実際の業務を題材に、一緒に作ってみる
- 最後は自分たちで直せるところまで持っていく
定着までには時間がかかる
伴走支援では、毎月「社内をまわる → 困りごとを拾う → その場でつくる → 使ってもらう → 定着を確かめる」というサイクルを回します。
ここで大切にしているのが、**「1人の100より、20人の10」**という考え方です。AIに詳しい1人が業務を100改善しても、速くなるのはその人の仕事だけです。20人がそれぞれ10ずつ改善すれば合計200になり、会社全体が速くなります。AI導入は、社内に1人の名人をつくる話ではありません。
正直にお伝えしたのは、最初の1〜2か月は「思ったほど効果がない」時期があるということです。覚える・教える・作り直す時間が増えるため、多くの会社がここでやめてしまいます。3か月目あたりから効果が積み上がりはじめ、隣の部署へ広がり、6か月ほどで社内で自走できる状態を目指します。
効果の目安として、1人あたり1日30分の作業が減れば、社員30人の会社なら月300時間ほどの時間が生まれる計算になります。使う人が増えるほど、この数字は大きくなっていきます。
実演:名刺・経費精算・請求書をAIで処理する
会場がいちばん前のめりになったのが、どの会社にもある事務作業を使った3つの実演です。
- 名刺の管理:受け取った名刺の情報をAIで読み取り、一覧に整える
- 経費の自動記帳:レシートの写真をAIに読み取らせ、日付・勘定科目・金額などを仕訳帳に自動で書き込む(実演では28枚分をまとめて処理)
- 請求書の送付:請求書をつくってから、取引先に送るメールの下書きまでを一気に進める

たとえば請求書の実演では、請求予定の台帳から請求書をつくり、送付用のメール文面の下書きまでをAIで進める流れをお見せしました。メールも「ゼロから書く」のではなく、「AIが出した下書きを直すだけ」に変わります。どれも特別な業務ではなく、「うちの会社でもそのまま使える」と感じていただける題材を選びました。
あわせて、実際に支援した会社の事例も紹介しました。ある会社の経理では、請求書を見ながら社内の支払い伺い書に手で入力する作業に月40時間かかっていました。これをAIで自動化したところ、月5時間まで短縮できました。仕組みづくりにかかったのは3日ほどです。
AI検索(AIO)とSNSでのAIの使いどころ
後半は、AIが「仕事を手伝う」側面だけでなく、「会社を見つけてもらう」側面のお話です。
AIが会社を探す時代の「公式サイト」
「四日市で残業が少なく、50名以下の会社」「四日市で〇〇加工ができる会社」。こうした探し方を、検索エンジンではなくAIにする人が増えています。AIは求人サイトやポータルサイト、そして各社の公式サイトを読んで答えをつくります。
つまり、公式サイトに中身がなければ、AIは御社の名前を挙げられません。 採用でも受注でも、公式サイトに何が書いてあるかがこれまで以上に効いてくるとお伝えしました。AIに自社を見つけてもらうための対策(AIO)は、すぐに成果を約束できるものではなく先行投資ですが、早く始めた会社ほど有利になります。
SNS運用は「下書きはAI、決めるのは人」
SNS運用では、AIに任せやすい作業として次の3つを紹介しました。
- 毎月のレポートづくり(数字集め・グラフ化・所感の下書き)
- 競合やトレンドの調査
- 投稿案の下書き
ただし、投稿するかどうかを決めるのは人です。自動投稿はおすすめせず、AIと人の役割分担をはっきりさせることが大切だとお話ししました。
研修には助成金が使える場合も
最後に、AI・DX分野の社員研修に使える厚生労働省の「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」を紹介しました。条件を満たせば研修経費の75%が助成され、自己負担は原則4分の1になります(出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」)。
会場の様子と、いただいた声
質疑応答や終了後の個別相談会では、大きく2つのテーマに関心が集まりました。
1. 伴走支援の進め方 「研修だけで終わらず、社内に定着するまで一緒に進める」という伴走支援について、「実際にどのくらいの頻度で来てもらえるのか」「自社のどの業務から始めればいいのか」といった、具体的な進め方への関心を多くいただきました。ツールを入れたものの使われなくなった経験をお持ちの方ほど、「定着まで」という部分に興味を持たれていたのが印象的でした。
2. AI検索(AIO)を採用に活かせるか もう1つ多かったのが、AIOと採用を結びつける視点です。人手不足が続く三重では、「求職者がAIに『働きやすい会社』を聞いたとき、自社の名前が挙がるようにできないか」という関心が高く、公式サイトに働き方や社内の様子をどう書けばよいかといった質問が寄せられました。AIOというと集客や受注の話と思われがちですが、採用の打ち手としても可能性があることを、会場の皆さんとのやり取りから改めて感じました。
開催して分かったこと
今回、三重の経営者の方と直接お話しして改めて感じたのは、「AIに興味はあるが、何から手をつければいいか分からない」段階の会社がとても多いということです。セミナーの準備段階でも、「ツールを入れたが使われなくなった」「AIセミナーを受けたが社内に広がらない」という声を多く伺っていました。
だからこそ、言葉で説明するよりも、実際の業務で動くところを見ていただくことに力を入れました。名古屋・東海の会社として、これからも三重や地方の中小企業が「自社の仕事に置き換えた具体的な姿」を描けるようにお手伝いしていきます。
よくある質問
Q. 社内にAIに詳しい人がいなくても始められますか?
A. 始められます。むしろ詳しい人がいない会社こそ、最初に全員で基本を学ぶ研修が効果的です。当社では研修で使い方の土台をつくり、その後の伴走支援で実際の業務に定着させる流れをおすすめしています。
Q. AIツールを入れたのに使われなくなってしまいました。どうすればいいですか?
A. 道具だけを置いて、使い方の土台や「どの業務で使うか」が決まっていないことが多い原因です。まずは1つの業務に絞って、一緒に作り、実際に使ってもらうところから立て直すのがおすすめです。
Q. AI導入の効果が出るまで、どのくらいかかりますか?
A. 最初の1〜2か月は、覚えたり作り直したりする時間がかかるため、効果を感じにくい時期です。3か月目あたりから効果が積み上がり、6か月ほどで社内で自走できる状態を目指すのが当社の考え方です。
Q. 研修に助成金は使えますか?
A. AI・DX分野の社員研修には、厚生労働省の「人材開発支援助成金」が使える場合があります。研修を始める前に届け出が必要など注意点もあるため、詳しくは管轄の労働局や社会保険労務士にご確認ください。
まとめ
今回のセミナーでは、三重の人手不足と地方のAI格差という現状から、研修から始めて定着まで伴走するAI導入の進め方、経理業務の実演、AI検索やSNSでのAIの使いどころまでをお話ししました。
どこから始めるのがよいかは、会社の業務や体制によって変わります。当社では、名古屋を拠点に、三重を含む東海エリアの企業へ、生成AI研修から業務への導入支援、AI検索で見つけてもらうための対策まで一貫してご支援しています。
当日ご参加いただいた方も、参加できなかった方も、「自社の場合は何から始めればいいか」を知りたい方はお気軽にご相談ください。
改めまして、ご参加いただいた皆さま、そして一緒にセミナーをつくってくださった株式会社ATISの皆さま、ありがとうございました。